メリッサ(レモンバーム)
香りの特徴
クールで甘い、洗練された柑橘系の香り。
落ち込んだ心に元気と明るさをとりもどしたいときに。
心に対するはたらき
この精油は鎮静作用がある一方で情緒を明るく高める効果を示し、感覚過敏状態を正常にするように思います。これは心を閉ざす障害物をとりのぞき、ショック、パニック、ヒステリーの場合に強力な鏡静力を発揮するといわれます。ときによっては、家族や近親者を失った人びとをなぐさめ、失ったものごとを直視するのを助け、明るい人生観を少しずつ人の心に浸透させていくようにしてくれます。
からだに対するはたらき
メリッサ油には鎮作用がありますから、これは循環器系に働きかけ、高い血圧を下げ、心柏をスローダウンさせ、この系が刺激きれすぎているところで有益な作用を示します。心臓にとって一般によい強壮剤となり、痙縮と疲労とに役立ちます。
この精油は、月経を正常化し、月経痛を緩和させ、リラックスさせる働きがあります。これには子宮を強壮にする効果がありますので、妊娠が困難な一部のケースでこれが役立つことがあるでしょう。
また、メリツサ油は胃をおちつかせ、消化を促すところから、吐き気、鼓脹、嘔吐、消化不良、下痢に効果を示します。
この精油はかぜに効き、熱を下げる作用があります。かぜに伴う片頭痛と頭痛を和らげるように思います。
メリッサ油は昆虫忌避剤として有効で、虫きされを鏡静させる働きがあります。
各種のアレルギー症をおさえる力をもつという評判があります。これが喘息患者に有益だということから、それが実証できるようです。呼吸促迫〔呼吸数が毎分24以上になること〕を鎮静きせる作用もあると思います。
肌に対するはたらき
創傷が生じた場合、血流をとめる働きがこの精油にあるのは確かです。真菌感染症と湿疹にも一定の効果を示します。脂っぽいヘアをきれいにし、脱毛を防ぐともいいます。
注意事項
メリツサ油には月経を正常にする働きがあるために、妊娠中はこれを避けるのがベストです。また、敏感肌を刺激することがあります。
★★★ 媚薬と呼ばれたハーブたち ★★★
●若返りの妙薬 レモンバーム(メリッサ)
◆蜜蜂のご馳走
庭園や家の入口でレモンの香りに気づいたら足もとを見てください。きつとレモンバームがあります。その香りは人の心からあらゆる悩みを解き放って元気を与えてくれる力があります。思わずその葉をちぎつて鼻先で嗅ぎたくなります。
レモンバームはヨーロッパ南部原産のシソ科の多年草で、その名はレモンの香りがする植物の意味があります。別名のメリッサはギリシア語で蜜蜂を意味しますが、レモンバームは昔から蜜蜂の大事な食料でした。ビー(蜜蜂)・バームという別名もあります。
肥沃な湿土で、日当たりのよい所で栽培できます。6〜10月に白や薄いピンク、または黄色の小さい花をつけ、葉はハート形、縁がギザギザで、こすると強い香りがします。
◆レモンバーム入りビールで健康を取り戻した
イギリスに伝わる話です。
あるクリスマスの夜、放浪の旅人がヒースの生い茂る荒野を族していましたが、喉が乾いてたまらず、一軒の農家に立ち寄り、「どうかビールを恵んでください」と頼みました。
主人は快くビールを飲ませてやりました。旅人は元気を取り戻しましたが、主人の青白い顔とやせ細った体に気づいて尋ねました。
「あなたはどこか悪いのですか」
「はい、実はもう、見込みがないんです。肺を病んで、もう終わりでしょう」
「さあ、私の言うとおりにしなさい。いいですか。朝起きたら、ビールの壷にレモンバームの葉を3枚入れて毎日飲みなさい。そして4日ごとに新鮮な葉を壷に加えていきなさい。12日たつときっと元気になりますよ」
病気の主人はこの旅人に食事をしていくようにすすめましたが、彼はそのまま急ぎ足で立ち去りました。
貧しい農家でしたが、レモンバームはたくさん生えていたので、旅人のいうとおりにして飲むと12日目には健康が戻ってきました。
◆若がえり長生きの妙薬
14世紀のフランスのシヤルル王は「頭が冴える」といって、毎日レモンバーム入りの水を放み、風呂にも入れさせました。おかげで108歳までも長生きしたという話です。
また、グラモーガンの王、ルレウェリンも毎朝、たっぷりはちみつの入ったレモンバーム茶を飲んで116歳まで生きたと伝えられています。
レモンバームは老衰の予防、若がえりの妙薬でもあるのです。
◆成分と薬効
成分はシトラール、リナロール、シトロネラール、ゲラニオールを含む精油と、タンニン、苦味質、樹脂、コハク酸などです。
花穂や葉を生のまま、または乾燥して用います。
心と体のリフレッシュに特に効果があるとされ、心配事や悩みを取り去るには、お茶に入れて飲んだり、風呂に入れたりします。恋人の心を晴ればれさせれば、自分のほうに心を向かせることも容易です。
消毒作用、抗ウイルス作用があるので、口内炎や肌のトラブルによく効きます。
入洛剤として使うには乾燥葉を煎液として入れるか、エッセンシヤルオイルを湯に3〜4滴たらします。肌を清潔に滑らかにする効果があり、気分がリラックスします。
◆オイルマッサージのすばらしい効用
レモンバームの1kgの精油(エッセンシヤルオイル)を得るのに、8〜10トンが必要なほどで、大変高価なものです。他のオイルで希釈して使いますが、希釈オイル20mlに対して精油5〜10滴が目安です。
自律神経の働きが悪くなって起きる消化器のトラブルには、腹部を時計回りにやさしくマッサージします。また月経や排卵の周期を順調にしたいときは、腰部や腹部をマッサージします。恋人には特に念入りにすることが二人の幸せを約束します。
オイルの配合は、例えば恋人の気が立っているときには、柑橘類の精油とブレンドしたもので背中をやさしくマッサージします。そのほかローズマリーのシャープな感じや、バラの豊かな香りとのブレンドもいいでしょう。
体がほかほか温まるブレンドの一例です。生薬なら一握り、乾燥菜ではカップ約一杯、布袋に入れて使います。入洛の際、カモミール、ミントなどを1,2滴加えると、さらに香りが増し効果も高まります。
◆程よい酸味を楽しむ
レモンほど酸っぱくないので、ババロア、ゼリー、ジュース、フルーツポンチなどに使います。アイスティー、アイスウォーターには生の葉を浮かせ、サラダやソースの香りづけにも利用します。
レモンバームティーはフランス人に特に好まれ、テ・ド・フランス=フランスのお茶と呼ばれるほどです。
ベネティクト酒(甘く香りの強いリキュール)やシヤルトルーズ(フランスあるいはスペインの修道士の作る緑、黄、白の芳香甘味リキュール)の重要な成分でもありました。
学 名 :Melissa officinalis
生産地 :フランス
抽出方法と部位:水蒸気蒸留法、花と葉
主要成分:シトロネラール、シトラール
作 用 :強壮、鎮痙、消炎、緩和
ノート : ミドルノート
メリッサ 5093円(税込)
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