★★★ 精油の働き ★★★
精油は多成分からなる混合物です。それぞれの成分がなんらかのそして、何がしかの作用を私たちの心身におよぼします。
例えば、「バラ(ローズ)」の精油には、主要なもので、
ゲラン酸(酸) シトロネロール、ゲニオール、ファルネソール、ネロール(アルコール) オイゲノール(フェノール) ミルセン(テルペン) といった成分が含まれています。
これらの成分が、単独であるいは相乗的に作用し、緩下、強肝、健胃、催淫、殺菌等など作用を発揮するのです。
また、テルペン類には、ほかの成分の持つ毒性を和らげる効果があります。このような相互関係が、いわゆる化学的に合成された薬品とは違う精油の穏やかな作用につながっているのです。
以下に精油の持つ作用を整理してみましょう。
○心身への作用
◎鎮静作用
心身をリラックスさせる作用で、精油に含まれる化学物質ではエステル環、セスキテルペン類に鎮静効果のあることがわかっています。とくに、ラベンダーの酢酸リナリルは鎮静作用を持つ代表的なエステル類です。
◎鎮痛作用
一口に鎮痛といっても、麻酔のような作用だけでなく、炎症を和らげて痛みを取る、血行を良くして痛みを取るなどいろいろな作用があります。
鎮痛作用を持つ精油の化学成分例をあげると、カモミールに含まれるアズレン、カマズレンには医稟品としても利用される抗炎症作用があり、ペパーミントなどに含まれるメントールは頭痛に効果的です。また、クローブは昔から歯痛の薬に使われていますが、これはオイゲノールという成分の作用によるものです。
◎消化と食欲の増進
胃腸の消化活動を高めたり(健胃)、食欲を増進する作用で、オレンジやベルガモットなど柑橘系の精油には、消化器官の活性化に効果があります。コリアンダーやフエンネル、キャラウェイなどに食欲増進作用があるのは、これらが香辛料としても使われていることからもよくわかります。
◎ホルモン調節作用
精油の香りが大脳辺縁系を通してホルモン分泌をコントロールする視床下部に伝わることは前にも書きました。このルートとは別に精油の成分とホルモンの構造が似ていることで作用する場合もあります。クラリセージに含まれるスクラレオールはその代表例です。
◎去痰作用
痰を溶かして排出させやすくする作用で、ケトン類、ラクトン類、オキサイド類といった化学成分を含む精油にその効果があります。ユーカリに含まれる1,8−シネオールはその代表例です。
身心への作用にはこれらのほかに、心や体の活動を刺激して高める「刺激作用」、「強壮作用」、免疫の働きを活性化する「免疫賦活作用」、「利尿作用」、けいれんを鏡める「鎮痙作用」などがあります。
○皮膚への作用
スキンケアに役立つ作用で、皮庸を引き締める「収斂作用(アストリンゼント作用)」と、皮膚に潤いを与える「保湿作用(ェモリエント作用)」があります。フランキンセンス、シダーウッド、ネロリ、ミルラ、サイプレスなど多くの精油がこの作用を持っています。
○細菌やウィルス等に対する作用
いわゆる「殺菌作用」や菌の増殖を抑える「抗菌作用」、ウイルスの増殖を抑える「抗ウイルス作用」、カビ(真菌)の増殖を抑える「抗真菌作用」、「殺虫・虫除け作用」などで、水酸基(OH基)を持つフェノール類、アルコール類を含む精油にはこういう作用があります。
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